死に山・世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件の真相》書評・感想

書評-読書感想文
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死に山世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件の真相》

「ディアトロフ峠事件の真相」のあらすじ

この本は1959年のソビエト連邦共和国のウラル山脈で実際に起こった遭難事件について書かれた本です。

その事件が起こった峠は事故後、遭難した登山チームのリーダー、イーゴリ・ディアトロフの名前をとり
ディアトロフ峠とよばれます。

で、なぜこの事件がこれほどクローズアップされているかというと、

当時ウラル工科大学の学生だった9人全員が、長距離スキー旅行や山岳遠征の豊富な経験を持っていたにもかかわらず、

遺体を発見された時の状況があまりにも奇妙だったからです。

テントを張っていたのですが、とくに荒らされた形跡もなく、

極寒のシベリアの山の中で、テントから数キロ離れた場所で

9人全員が薄着で靴も履いていない状況で発見されました。

死因は凍死や胸部、頭部の骨折、中には舌を失った遺体までありました。

あまりにも不可解な事件現場の状況から当時の捜査では明確な原因を追究する事ができず

未解決事件として処理されます。

当時のソ連の捜査当局は “抗いがたい自然の力”という表現を使います。

その後、衣服から放射線が検出されたり、あまりにも事件現場が奇妙だった為

UFOや、雪男、政府の秘密兵器説などちょっとオカルトめいた説が語られ現在に至っていました。

そんな《ディアトロフ峠事件》に興味をもったアメリカのドキュメンタリー映画、ドラマ監督の

ドニー・アイカーが私財を投じて取材し、ウラル山脈の事件現場へ実際に足を運んだりしながら

事件の真相に迫ります。

本編の感想・・・三つの視点

この本の素晴らしいところは
三つの視点から時系列に物語が描かれているところです。

一つ目の視点・被害者の学生

被害者であるウラル工科大学の学生たちの視点
彼らはトレッカーの最高資格である第三級を取得するために大学へルートの申請などをして登山していました。なのでテントを設営した状況などをあとで報告するために多くの写真を自ら撮影していたり、後で報告の為なのか、詳細な日記も記していたので遭難する前日までの状況が残っていました。
その資料などをもとに冷戦下であったソ連の状況などをふまえて克明に日を追って物語が進んでいます。

二つ目の視点・当時の捜査資料

事件当時の捜査資料を元にした視点
冷戦下のソ連ではとうていかなわなかった捜査資料の閲覧なども、国の体制も変わったこともあって可能になっています。
ここではディアトロフ財団の協力をへて膨大な捜査資料を手にいれる事ができたので、当時どのようにこの事件の捜査が進展していったのかを詳細に調べられています。
なのでこちらも克明に日をおって物語が進んでいきます。

三つ目の視点・この本の作者

作者であるドニー・アイカー本人の視点
ディアトロフ事件に興味を持ったというか、とりつかれてしまった作者本人がロシア語も喋れないままロシアへ渡り、通訳をかいして事件をしるいろいろな人々に会っていきます。
ディアトロフ財団の理事長や、登山チームのリーダー、イーゴリ・ディアトロフの妹。
そして今回の事件で遭難したのは9人ですが、本来このチームは10人でそのうちの一人ユーリ・ユーディンは登山へいく道中で重く体調を崩し、途中で引き返しています。
その当時の登山チームを一番良くしる唯一の生存者ユーリ・ユーディンにも直接会う事ができ詳細な話を聞く事に成功しています。
さらには事件現場となったウラル山脈へも向かい、実際にディアトロフ達がテントを設営した場所にも行っています。
そんな緻密で丁寧な取材を重ねて、最終的には地質学者や災害研究の専門家の協力を得て事故原因の有力な仮説へと辿りつきます。

まとめ

この三つの視点を持った物語が交互に重なっていき、繋がっていきます。
そして最終章で、たどり着いた仮説を元に事件当夜の出来事を
9名のトレッカーたちの関係性を描きながら、
事件当時の捜査資料・検視結果をふまえ、
地質学者や災害研究の専門家の意見を元に
克明に描いていきます。

読んでみた感想としては、とても読み応えのあるとても素晴らしい本だと思います。
作者が辿り着いた仮説も納得のいくものでした。

是非お勧めの本です。

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